トランスジェンダーにとって、裸になるシーンがある場所(更衣室や温泉など)の利用については、様々な考え方があります。
ここでは、あくまでも筆者の個人的な意見として、これらについて述べていきます。
*温泉や銭湯、プールを、この記事では『水場』と表記しています。
*半陰陽(インターセックス)の方については、今回スルーさせてください。
*この記事は、筆者の個人的な考えや意見によって書かれています。
これが正しいのか間違っているのかは分かりませんので、
皆様の良識ある行動を期待しております。
目次
水場問題・法律編
温泉、銭湯という、基本的に全裸で入る場所。
そして、プールという全裸になる更衣があり、比較的身体のラインが出るような水着姿になる場所。
水場は、嫌でも性別を意識させられる場所です。
このような場所に行くか行かないかは、完全に個人の判断となります。
行って良い/悪いについては、法律などでの縛りは1つしかありません。
それは、『異性の水場に侵入することはNG』という決まりです。
性別を嫌でも意識させられる水場には、様々な問題がはらんでいます。
自分自身についての問題や、自分以外についての問題です。
ここから先の登場人物の紹介
GIDの診断・ホルモン・SRS・戸籍・見た目での場合分けをした13人です。
MtF-NS1:診断なし・ホルモンなし・SRS未・女性の姿で外出経験なし・見た目は一般的な男性に見える
MtF-NS2:診断なし・ホルモンなし・SRS未・女性として外出中の見た目は残念ながら一般的には『女装者』と認識される(=女性としてのパス度が低い)
MtF-NS3:診断なし・ホルモンなし・SRS未・女性として外出中も女性として見られる(=ホルモンはしていないが、女性としてのパス度は高い)
MtF-NS4:診断なし・ホルモンあり・SRS未・女性として外出中の見た目は残念ながら一般的には『女装者』と認識される(=ホルモンで胸は少し成長したが、女性としてのパス度が低い)
MtF-NS5:診断なし・ホルモンあり・SRS未・女性として外出中も女性として見られる(=ホルモンで胸は少し成長していて、女性としてのパス度も高い)
MtF-SNH6:診断あり・ホルモンなし・SRS未・女性として外出中の見た目は残念ながら一般的には『女装者』と認識される(=女性としてのパス度が低い)
MtF-SNH7:診断あり・ホルモンなし・SRS未・女性として外出中も女性として見られる(=ホルモンはしていないが、女性としてのパス度は高い)
MtF-SH8:診断あり・ホルモン療法中・SRS未・女性として外出中の見た目は残念ながら一般的には『女装者』と認識される(=女性としてのパス度が低い)
MtF-SH9:診断あり・ホルモン療法中・SRS未・女性として外出中も女性として見られる
MtF-SRS10:診断あり・ホルモン療法中・SRS済み・戸籍性変なし・女性として外出中の見た目は残念ながら一般的には『女装者』と認識される(=女性としてのパス度が低い)
MtF-SRS11:診断あり・ホルモン療法中・SRS済み・戸籍性変なし・女性として外出中も女性として見られる
MtF-SRS12:戸籍性変済みの女性・女性として外出中の見た目は残念ながら一般的には『女装者』と認識される(=女性としてのパス度が低い)
MtF-SRS13:戸籍性変済みの女性・女性として外出中も女性として見られる
NS1は除いて最後の数字が、
偶数はパス度が低い
奇数はパス度が高い
という規則性があります。
水場問題・当事者編
異性の水場ということを考えたとき、目の前には大きなドアが2枚用意されます。
性別とは何か?というドアです。
・戸籍の性別(セックス)
・認識している性別(ジェンダー)
どちらもドアを開けるかで、その先の道は全く異なっています。
何らかの理由で、温泉旅行に行くことになりました。
絶対に温泉に入らなくてはならない状況です。
登場人物が13名いますが、男湯・女湯のどちらに入るべきでしょうか?
本来であれば、入らないという選択肢があるはずですが、ここではあえてそれを選択できません。
ジェンダーからすれば、全員が女湯に入りたいはずです。
性自認が女性なのに、男湯に入るというのは、精神的な苦痛が伴います。
しかし、戸籍からすると12と13は既に正当な手続きによって、女性に改性別をしています。
ですが、12はパス度が低く、女性に見えません。
純女である13は、何も問題なく女湯に入れます。
むしろ、男湯に入ってしまったら、異性の水場に侵入していますから罰せられます。
同じく純女である12は、見た目が男性ですが、胸もあり、外性器は女性になっていて、戸籍上も女性です。
なのでやっぱり、女湯に入るべきです。
ただし、非当事者からは驚かれてしまうでしょう。ですが、性器や胸などをチラ見して男性に見えてしまう女性と思われるでしょうから、場の空気が緊張するかもしれませんが、問題はないはずです。
1は、残念ですが、男湯です。
診断もなく、男性にしか見えないのであれば、男湯に入らざるを得ません。
その理屈からすれば、
2,4,6,8も男湯でしょう。何せ男性器が付いていますものね。
男性器という判断からすれば、
3,5,7,9も女性に見えるかもしれませんが、男性器がある以上は男湯になるはずです。
女性が入ってきたとビックリさせてしまうかもしれませんが、男性器があることでいわゆる「ニューハーフ」と思われて、場の空気がよそよそしい感じになるかもしれませんが、耐えるしかありません。
10と11は、どうでしょう?
SRSは受けていて、外性器は女性になっています。ただし、戸籍の変更を行っていません。
10はパス度が低く、11は完全にパスしています。
私の個人的な意見としては、
10は男湯、
11は女湯です。
11は女性として一般的な状態になっていますから、純女からも別に何とも思われないでしょう。
戸籍は男性かもしれませんが、問題になる要素がありません。水場で戸籍上の性別チェックは行われることなどごく希でしょうから。
問題は10です。もしかすると12もです。
結局のところ、パス度はとても重要です。
水場問題・非当事者編
当人の背景、ましてやジェンダーなど知らない、多くの非当事者。シス性別の人達。(トランスジェンダーの対義語としてシスジェンダーがあります)
彼らは、相手の性別をまずは見た目で判断します。
すると、パス度が低い、
1,2,4,6,8,10,12は男性と判断されます。
そして、
3,5,7,9,11,13は女性と判断されるでしょう。
当事者は、非当事者に迷惑を掛けることはしてはいけないと思っています。
水場での迷惑というのは、相手をギョッとさせることです。
ならば、SRSを行っていない、
3,5,7,9は、裸になった瞬間にアウトとなります。
これはプールなどの性別が別れる更衣室などがある場所でも同じです。
上手に隠しながら着替えられるとしても、不測の事態が起れば女子更衣室で男性器を晒すことになります。
となると、非当事者に不快感を与えず、女性というカテゴリーに認識される11と13のみが女湯ということになります。
結局のところ
いくら温泉や銭湯が好き、プールで遊びたい!海や川の中で水浴びしたい!とトランスジェンダーの当事者が思っていたとしても、
『見た目と戸籍性別が一致していなければ、温泉や銭湯には行くな。その他の水場では脱ぐな』
*終始性別の垣根がない水場は全く問題ありません。
ということになってしまうのです。
我欲と、迷惑、そして性別のギャップという苦しさ、これらを天秤に掛けてはいけません。
卑屈になることはありませんが、それでもトランスジェンダーであるのならば、性別について繊細な場面には近寄らないという選択をすることが最も大切です。
もしもそれでも行きたいのであれば、施設に許可を取るべきです。
何らかの条件などを出されるでしょうが、それでOKをもらえたならば、その条件に従って思いっきり楽しめば良いのです。
海や川などの施設ではない場所ならば、その他の参加者への周知は絶対に必要です。そして、着替える場面では参加者の中にいるシスジェンダーの方に、他の人が近寄ってこないように見張ってもらうくらいのガードも必要でしょう。
自由や権利という側面も理解できますが、一人の当事者の暴走によって、全当事者に迷惑を掛けてしまうことだけは肝に銘じておくべきです。
ちなみに私は
中学校の修学旅行を最後に、戸籍の性別が変わるまでは貸し切りと野外設置の誰でも利用できる足湯以外の水場に行きませんでした。
家族旅行で温泉に行っても、親から誰も居ないから入っても大丈夫と言われたとしても、絶対に入ることはしませんでした。
なぜなら、自分の気持ちに対して嘘をつくことが嫌だったから。そして、もしも他の誰かに見られてしまったら、私自身の心が苦しくなるからです。誰かに見られてしまったら申し訳ないという気持ちもありましたし、犯罪みたいになってしまうのも怖かったというのもありますけれど。
戸籍の性別を女性に変更し、術後1年数ヶ月経ったときにシス女性の親友と行った銭湯の女湯は、今でも覚えています。人生40年目にして念願が叶った、本当に幸せな時間でした。
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