トランスジェンダーに大きく関係する、ある性指向についてお話をします。
それが、トラニーチェイサーという方々についてです。
目次
トラニーチェイサーとは？
tranny（トランスジェンダー）＋chaser（追いかける者）を掛け合わせた造語のtranny chaser（トラニーチェイサー）は、トランスジェンダーに限らず異性装者も含めて、性的な対象にしていたり、恋愛の対象にしていたりする人のことです。
ただし、トランスジェンダーにしか性指向がない者もいれば、異性装者にしか性指向がない者、MtFのみや、FtMのみなど、トラニーチェイサーだからといってtrance界隈の属性の全ての人が性指向というわけではないので、この辺りは多様性があります。
このコラムについての注意
(1)tranny（トラニー）という単語は、時としてアメリカのスラングでトランスジェンダーに対する蔑称で使われることもあります。なのでトラニーチェイサーのことをトラニーと略すのは、トランスジェンダーを蔑称で呼んでいることにもなりかねないので気を付けたほうが良いです。
(2)様々なタイプのトラニーチェイサーがいますので、一概にこうだと結論づけることはできません。
ただ、今までに出会って話を聞いたり、小耳に挟んだことなどの情報から、多くのトラニーチェイサーに共通していた点についてまとめています。
(3)筆者の個人的な感想や意見も含まれています。
以上をご理解いただいた上で、コラムをお読みください。
トラニーチェイサーと恋愛をすると？
トラニーチェイサーというくらいですので、何らかの形で性別越境をしているか、または目指している状態の人に対しての性指向がある人のことを指しています。
なので、トランスジェンダーや異性装者が恋愛としてでも、肉体関係だけだとしてでも、交際を持っている人がもしもトラニーチェイサーだったとしたら、トランスジェンダーであれば性別適合手術を受けたり戸籍の性別を変更したりした場合は興味を失われてしまう可能性が往々にしてあります。
なぜなら、トランスジェンダー、いわゆるトラニーではなくなってしまうからです。
同様に、異性装者が異性装をしていない状態を絶対に許さず、例えば肉体関係を持ったすぐあとにシャワーに入ることを許さなかったり、それを良しとはしないトラニーチェイサーもいるそうです。服を脱いでしまったら異性装状態ではなくなるので、その日会った時からお別れする時まで、異性装状態をキープする必要があるそうです。セックスも絶対に着衣状態でのみ行うから服に皺ができるし、汗をかいても服を脱ぐことを禁じられているのでシャワーも浴びられず汗臭いままその後を過ごさなければならくて不快だったと、とある女装子さんが語ってくれました。
また、トラニーチェイサーがシスジェンダー（生まれながらにして身体と心の性別が一致している人）とは限りません。トランスジェンダーでトラニーチェイサーという人もいます。
あるトラニーチェイサーは、自分は性別適合手術も受けて戸籍の性別を変更したのにも関わらず、交際しているMtFが性別適合手術を受けることを嫌がるそうです。そしてもしもアテンド会社などに連絡を取ったことを知った場合は、それを阻止するか、またはその時点で関係を絶つそうです。
FtMさんからSRSについての電話相談があって、かなり具体的な話になったのですが、それから数時間後にもう一度電話が掛かってきて、彼女から強く怒られたのでSRSは行わないことにしましたと泣きながらキャンセルを伝えてきた方がいました。ちなみにその彼女さんは自称MtFで、形としては男女間で行われる一般的なセックスが好きとのこと。
恋愛や肉体関係は当事者達の自由意志ですから、それに意見をする気は全くありませんが、いやはや様々な考え方や恋愛スタイルがあるものだなと考えさせられました。
もちろん、性別適合手術を応援してくれるトラニーチェイサーもいます。
その人が望む行き方ができるよう導くのが自分の使命という感じで、恋愛や肉体関係を通してトランスジェンダーの精神的な支えになることを交際の主目的としている方に、出会ったこともあります。
根本としては変化することを嫌う
見た目や声は、徹底的に磨いたほうが良いとアドバイスするトラニーチェイサーもいるそうです。例えばMtFに対してメイクの技術だけではなく、髪を綺麗に伸すことや、豊胸手術を受けること、中には多めに女性ホルモン薬を使用することなども頼むトラニーチェイサーもいるのだとか。
けれども、性器だけは生まれたままの状態を強く望む（場合によっては強要する）こともあるそうです。
恋愛はお互いに納得した上で成り立つことですので、トランスジェンダーもその人が本当に好きであるならばそうして関係を続ければ幸せなのでしょう。
ただ、戸籍の性別を変更を目指している当事者は、相手の幸せのために生きるのか、自分の幸せのために生きるのかの選択を迫られるので、それがストレスにならないように気を付けなければなりません。
中には性別適合手術を受けた人のみが対象という人も
トラニーチェイサーの世界はとても幅広く、SRSを受けたトランスジェンダー、または戸籍の性別変更をした元トランスジェンダーが性指向の人もいます。
なのでこのタイプの場合は、性別適合手術を受けていない人に対しての性指向がないようで、そもそもとしてトランスジェンダーが人口の僅かしかいないのに、さらにSRS完了者や戸籍性別変更者にしか性的指向がないとなると、なかなかにして出会いも難しそうです。
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